初夏の風を感じるように
梅雨の雨音に耳を傾けるように
今という時代の足音に耳を傾ける
初夏の風を感じるように
今という時代の風を感じる
時にそれは心地の良いことばかりではないかもしれない
それでも、感じる事をやめずにいたいと思う
時折やってくる雷雨は激しさを増し
私たちはこの先どうやってこの時代を駆け抜けてゆけばいいのかと
息切れしてしまうけれど
屋根の下に駆け込み、ただ雨音だけを聞いていると
愉快な気持ちにすらなってくる
時には雨宿りする緩やかさを持つのもいいのかもしれないと
そんなことを思った
夏の日差しは年々強さを増し
大空高く輝く太陽は、眩しすぎて見ることができないけれど
太陽を反射する、木陰の湖面はこんなにもキラキラと穏やかだ
空を駆ける雲の形に想像力を膨らませ
湖面に落ちる雨粒に目線を向け
草木を濡らす雨音に心をかよわせる
何を美しいと思うのか
何を大切と思うのか
いつ自分の心が動かされるのか
ただ歩みを続けているだけでは気がつかない
そこで立ち止まり腰を下ろし景色を眺める時間が必要なのだ
そして改めて大切なものに気がつく
日常の中に足を止めて景色や光に目を向ける瞬間が必要なように
人生という時間軸の中にも、きっとそういう期間が必要なのだと思う
けれど、立ち止まっている自分に焦りを感じてしまうのはなぜだろう
怠けているわけでも、後ろを向いているわけでもない
ちょっと立ち止まって考えているだけなのに
多すぎる情報と、早すぎる人の流れ、渦のように見えてくる
流れているもの、渦巻いているもの、逆流しているような感覚のもの
それは物でもなんでもない、ただの、けれど圧倒的な気配だ
自分を保つことのどんなに難しいことか
立ち止まることは悪いことではない
腰を下ろして、見えてくる景色があると信じたい
雨宿りをしている自分になんだか笑ってしまうように
清々しい気持ちになれたなら
きっと日々も人生も 穏やかで豊かであろう