誰かを想う



移動する景色の中
人生で多分交わることのない人々が
確かに生きている現実を
映画のように垣間見るのが好きだ

駅に降り立った時、抱き合う見ず知らずの家族
穏やかな余生を送る釣り人

その誰もにそれぞれの人生がある

知らない街の誰かをおもう
その街に住む、見ず知らずの誰かの人生をおもう

世界は広くて
私は小さくて
それでも私にとって私の世界が全てに思える
とても短い今という時が、延々に続くように錯覚する

世界は広くて
私は小さくて

私の人生は私だけのもので
見ず知らずの誰かの人生も彼だけのものだ