燃える想い

Spring step Magazine 掲載 フォトエッセイ

秋の終わりの空気が好きだ
肺の中に染み渡る、ひんやりと乾いた空気

真っ赤な木々は
美しくて、圧倒的で、そして切なくて

今にも落ちそうな葉を抱く木々は
寒い冬に備えて、生き抜く決意を両手いっぱいに広げ
一年で一番力強いとさえ思える

冷たい風に舞う枯葉は
若き日の軽やかな花びらとはまた違う
音を立て、力強く風に乗り、遠くまで高く高く舞うのだ

切ないけれど心地のいい
この季節がなんだかとても愛おしい

人生を半分折り返した
あと何十年か後の私の晩秋の景色も
こんなふうになれたなら
とても美しいのだろう
燃えるように赤いのだ
心も燃えるように熱くありたい
その思いを力一杯空に舞い上げる


若葉を芽吹かせた時代

花を咲かせた時

葉を茂らせ

そして、次の季節のためにその葉を赤く染め
大空いっぱいに舞い上げる

最後にはただその身だけで、美しく静かに佇む
冬は終わりではない
枝には必ず、新しい芽吹きを抱いている

そんな人生だ