夏の旅

Spring step Magazine 掲載 フォトエッセイ

目的地は一番果て
そんな風にして旅をすることがある

ウエールズに西の果て
オランダの最北のビーチ
ヨーロッパの西の果て
アイルランドの北の果て
日本の最南端
与那国島の西の果て

自分探しの旅なんていう言葉があったけれど

ただただ果てに行くために電車やバスを乗り継いでいる時
不思議な感覚に襲われる
あるようでない目的地に着き小さな街を散策するとき
不思議な浮遊感に襲われる

自分が何者なのか誰も知らない場所に身を置く
なんともいえない頼りなさと
それと同時に感じる圧倒的な自分の皮膚の感覚

この歳になっても自分などというものは見つからず
自分の好きなもの、夢中になれるもの、
そして苦手なものが少しづつわかってきただけだ

小さい頃から、私はいつも自分の居場所を探していた
旅人が次の目的地を探すように、時のそれはワクワクする作業で

迷子の子供が泣きながら親を探すように
時にそれはとても心細い作業だ

家族ができ一つはっきりした居場所がある
娘の隣という場所だ、それはとても強くて太い
私が守らなければならない、確固たる居場所だ
一つ強い自分ができた


久しぶりに目的のない旅に出たい
今見える世界をあるがままに感じてみたい