下を向いて歩こう
小さな子供の頃から
足元ばかり見て歩いていたように思う
何もないようなその黒い土の間に
小さな草花を見つけることが好きだった
コンクリートの間に咲く花
ブロック塀の隙間から生えている葉
秋には落ち葉が賑やかに音を立て
春には桜の花びらの絨毯が広がる
晴れた日には影が追いかけ
雨の日には雫が光る
自分だけの特別な世界が広がっているような気がした
今日もまた
雨に打たれた、一輪の花が地面に落ちている
「上を向いて歩こう」なんて言葉があるけれど
下を向いて歩くのも悪くないと思う
涙に濡れた心に、新しい光を感じるように
雨に濡れた地面にも、時に美しい発見がある
艶やかで
雫がきらめいて
私だけが見つけた、特別な宝物のように思える
そんな発見があった日は、
心もとても豊かだ